映画「新聞記者」は2019年6月28日に公開された日本映画です。
原案は東京新聞記者・望月衣塑子による同名ベストセラーで、上映された本作もまた新藤兼人賞や第11回TAMA映画賞を受賞し大ヒット映画となりました。
社会派サスペンスという重いテーマながら、ダブル主演を務めた韓国の実力派女優・シム・ウンギョンさんと人気実力共に国内トップクラスの若手俳優・松坂桃李さんお二人の演技が素晴らしく、また脇を固める俳優陣も流石の一言に尽きます。
真実を追い求める新聞記者と葛藤を抱えるエリート官僚の二人が出会い、現代社会に隠された深い闇を知った時、何が起こるのか…。
そんな映画「新聞記者」の魅力を今回は掘り下げたいと思います!ラストセリフの意味やあらすじとネタバレ感想もご紹介しますので最後までご覧ください(^-^)
映画『新聞記者』とは?あらすじを紹介!
物語は東都新聞あてに届いた一通のFAXから始まります。目を黒く塗りつぶした羊の絵と共に送られてきたのは、ある大学の新設計画の極秘情報。その内容は、本来なら文部科学省の管轄である筈の大学新設を内閣府が主導し、更には民間へ運営を任せるというものでした。
一般的な流れとは異なるこの新設計画の真相を探るべく、若手女性記者の吉岡エリカは編集長の陣野からFAXの送り主を探すよう命じられます。
同じ頃、内閣府では内閣情報調査室(内調)に移動した官僚・杉原が自身の仕事に葛藤を抱いていました。
移動前に勤めていた外務省で「誠心誠意、国民に尽くす」という信念を上司の神崎から学んだ杉原でしたが、内調での仕事は現政権に都合の悪い人物の悪評を探し、時には捏造し世間に拡散するというものでした。
そんな時、元上司の神崎が飛び降り自殺したという一報が届き杉原は愕然とします。つい先日、久しぶりに会って酒を飲み交わし「俺のようにはなるなよ」と語った神埼。彼は5年前にある事件の責任を一人で背負い外務省を辞職していました。「責任をとったらこれからも面倒をみてやる」と、その言葉に従って。
この神埼の死をきっかけに杉原と吉岡は出会います。
神埼の葬儀に赴いた杉原。そして吉岡もまた、取材を重ねるにつれてあのFAXを送ったのは神埼だったのではと突き止め、葬儀の場へ向かうのでした。
新聞記者と内閣の官僚。まるで立場の違う二人ですが、真実を知りたいという共通の意思により徐々に信頼関係が生まれ、そして真相に近づいていきます。
神埼は何故自殺したのか。そして大学の新設計画には何が隠されているのか…。現実社会を髣髴とさせるリアリティの重さは物語ラストの際の際まで続き、観た人に強いメッセージを投げかける作品です。
ネタバレと感想
映画は大学新設計画に隠された謎を中心に、一般市民さえ陥れる内調の隠蔽工作や吉岡の父の自殺など数多くの「闇」が散見されます。
昨今の日本映画には珍しい鋭い社会風刺を盛り込んだ作品だからか、上演する映画館も限られていました。
しかし衝撃的な内容に果敢に挑んだ甲斐もあり、視聴後の感想では「良作」「絶対に見るべき」との声も多いです。
リアリティに富んだ社会派映画であるために、いわゆる娯楽映画としてのエンターテインメント的な爽快感は得にくいかもしれませんが、社会とは何か、正義とは何かなど、民主国家で生きる私達にとって思い思いの答えを考えさせてくれる作品だと思います。
また、俳優さん達の演技も必見です。難しい役どころ故に中々決まらなかったヒロイン、吉岡を演じたシム・ウンギョンさんの緩急ある表現力。内調での杉原の上司・多田を演じる田中哲司さんの怪演も素晴らしく、終盤で「この国は見せかけの民主主義で良いんだ」と語る様は背筋が凍ります。そして自身の正義と、現実の圧力に苦しむ杉原役の松坂桃李さん。愛する家族と共にいる時の穏やかさと、官僚としての誇りと葛藤を見事に演じきってくれました。
物語ラストの憔悴しきった顔と「あのセリフ」に、胸を掻き毟る想いを味わった観客もいるのではないでしょうか。
ラストセリフの意味は?
上記でも少し触れました「あのセリフ」。つまり映画のラストで杉原が語った言葉ですが、厳密には小さく呟くだけで何と言ったかは定かではありません。ただし、方々の感想を見てみると「ごめん」と呟いたのではないかという意見が多いようです。
確かにあのラストならこのセリフが妥当のような気がします。とはいえほぼ口パクなので断言も出来ませんが…。
ただ、あえて聞き取りにくい演出にすることで見る者の想像力を掻き立てる。そして何より、ラストのあの杉原の心情をこれ以上なく表しているのではないでしょうか。
まとめ
(引用:https://mondo-libre.com/shinbunkisha-last/)
映画『新聞記者』はその暗く重いテーマ故に、視聴後の爽快感や娯楽的要素をお求めの方にはお勧めし難い面もあります。しかしその分、「現実でこんなことが行われているのかも…」と考えさせられるところは多く、間違いなく観て損の無い作品です。
もしご覧になる場合は物語は勿論のこと、役者さん達の繊細な演技にも是非注目していただきたいですね。
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