2013年放映の「スクールガール・コンプレックス~放送部篇~」は、写真家の青山裕企が手がけた写真集「スクールガール・コンプレックス」をモチーフに映像化された作品です。
青山氏は少女をフェティッシュな目線で切り取った作風が高く評価されており、同作品のシリーズは現在5作品まで出版されています。
映画監督・小沼雄一による今作の映画では女性同士の恋愛描写もあり、青山氏の作風に添った少女達の耽美な魅力が随所に見受けられます。
スクールガール・コンプレックス:あらすじ
(引用:https://www.amazon.co.jp/)
希望ヶ丘女子高等学校はもうすぐ学園祭の季節。
刻一刻と迫る学園祭に向けて生徒達がそれぞれの準備に追われる中、放送部・部長の新谷マナミ(森川葵)は学園祭で披露する朗読劇の演目を中々決めることが出来ず悩んでいました。
そんなある日、顧問教師の本西郁美(寿美菜子)から放送部に新しく入部する生徒がいると聞かされます。新入部員の名は三塚チユキ(門脇麦)。チユキは美しい少女ですが1年留年をした問題児で、以前は所属していたバスケ部で問題を起こし、そして同級生の江里口フタバ(新木優子)とは同性同士の禁断の関係を持っていました。
しかしマナミは徐々に、そんなチユキが持つ独特の謎めいた雰囲気に惹かれ始めます。
(引用:https://eiga.com/movie/78189/)
やがてマナミはチユキが好きだという太宰治の著書「女生徒」を学園祭の演目に選び、彼女を朗読担当の主役にすることにしました。
そして部長と部員の関係だった二人の距離は学園祭が近づくにつれて変化を帯びて、マナミは更に深くチユキに惹かれていきます。
一方、そんなマナミを森野アイ(近藤真彩)は複雑な気持ちで見ていました。
アイはマナミと同じ放送部員ですが、それ以上に彼女の親友であり、幼なじみでもあり、そして密かにマナミに恋心を抱いていたのです。
チユキとマナミ。フタバと、そしてアイ。それぞれの恋心は美しく切なく絡み合い、やがて迎えた学園祭の当日、少女達の繊細な感情は最高潮に達して―――。
スクールガール・コンプレックス:キャスト
新谷マナミ(森川葵)…放送部部長。主人公。
三塚チユキ(門脇麦)…新入部員。問題児の美少女。
森野アイ(近藤真彩)…放送部部員。マナミの親友兼幼なじみ。
江里口フタバ(新木優子)…チユキと恋愛関係の女生徒。
本西郁美(寿美菜子)…放送部の顧問。
小田カズミ (吉倉あおい)…放送部部員。
西野マユ (今野鮎莉)…放送部部員。
村口アヤネ(高井つき奈)…放送部部員。
長谷川朝晴(ユキヤ)…チユキの年上の恋人。
原案である写真集が少女達の未成熟さに潜む美を追求しているため、映画のキャストも愛らしい年頃の女優さん揃いです。
映画は2013年の作品ですので、どの女優さんも今は更に研鑽を積んで美しく成長していますが、とりわけカメレオン女優と評される森川葵さんの繊細な演技は見もので、僅かな表情の変化や仕草でマナミの心情を鮮やかに表現しています。
またチユキを演じた門脇麦さんは今作が初主演でしたが、幼い頃から真剣にバレリーナを目指していた経歴もあり、初めての主演とは思えないほど表現者としての風格は抜群です。
個人的にはこの方は真正面から撮影した広告よりも、作中の動いて喋るご本人を見ていただきたいですね。
更には、作中ではあまり目立たない「大人」の役者さん達も実は個性的な経歴をお持ちです。
放送部の顧問を演じる寿美菜子さんは大人気アニメ「けいおん!」「TIGER & BUNNY」などで主要キャラクターを務めるほど有名な声優でもありますし、本作で貴重な男性キャストである長谷川朝晴さんは大学在学中に所属していた演劇ユニット「ジョビジョバ」からの役者一筋で、2010年に出演した映画「ヘブンズストーリー」で最優秀主演男優賞を受賞している実力者です。
この作品は上映時間96分という近年では短い部類の映画ですが、その濃密さは脇を固めるキャストのレベルの高さからも伺えます。
スクールガール・コンプレックス:ネタバレ感想
さて、映画の感想については実は賛美両論です。正確には「見る側がどこに注目するかによって印象が違う」という感じです。
映画としてストーリーを重視している方にはラストの演出はいささか突拍子もなく、物語構成として荒く感じるようですし、女の子達の青春の一幕として受け入れている方には胸に迫る、ある意味リアルだという感想も見られます。
ただ、両者共に共通して高評価なのが映像の美しさです。
若さという限りある特別な魅力に満ちた女優さん達。彼女らが演じる初々しい少女達の揺れ動く心情を、映画は「フェティッシュ」な一枚絵の連続として見事に成立させています。
(引用:https://eiga.com/news/20130817/9/)
映画「スクールガール・コンプレックス」が原案の写真集のコンセプトに沿った作品であるという大前提から見れば、充分に素敵な作品だと思います。
フェティシズムが醸す映像美と可憐な女優さん達の美しすぎる心理描写との融合を、是非一度ご覧ください。
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